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大人たちのこと
2010-06-20(Sun) 18:56
さて。『魂の殺人』(アリス・ミラー著)という本に、“大人からまじめに相手にされ、尊重され、そして敬意を払われつつ大人に連れ添ってもらっている子供は、自分で自分自身及び外の世界とぶつかり、経験を積んでいくことができるのですから”とありました。
「秘密の花園」においては、女中のマーサとその弟・ディコンがまさにそういう子供です。彼らの母親であるスーザンは暖かく聡明で、母性の象徴のような女性です。このような人物を母親に得られたディコンとマーサは幸運な光の子供です。

しかし、母性というのは子供を生んだからと言って、万人に分け隔てなく宿るものではないようです。
メアリの母親はすばらしい美人でしたが、“パーティーに出かけて陽気な人々と楽しい時間を過ごすことにしか感心のない人”で、“子供などほしいと思ったこともなかった”ので、“病気がちで不機嫌で不器量な赤ん坊”は「奥様」の気にさわるといけないので常に母親の目から遠ざけて育てられることとなります。

結果、インド時代のメアリは「誰も見たことのない子供」という都市伝説のような存在で、インド人の使用人たちを相手に、我がまま勝手放題の嫌われ者のお嬢様に成長します。
コレラで乳母や母親が亡くなっても悲しいとも思わない。自分のことしか頭にないので、これからは誰が自分の世話をしてくれるのかというのが一番の関心事です。読んでいてやれやれといった感じです。

でも、メアリがこういう風に育ってしまったのは、周囲の無関心と育児放棄が原因です。父親も、軍人でいつも忙しい上に病気がちという記述しかないので無関心だったのでしょう。
いずれにせよ、メアリは「一人ぼっち」でした。


一方、コリンも「一人ぼっち」でした。
父親は最愛の妻の死を乗り越えられず、息子とも向き合えず、屋敷を捨て旅に出てばかり。妻が死んでから10年間、暗闇の中に沈み込んでいました。
叔父であるクレイブン医師は、コリンが死ねば広大な屋敷や財産が自分のものになるとあって、コリンの回復を望んでいない様子。使用人たちも病弱なコリンは大人になるまで生きられないと思っている。
コリンは、大人たちの諦めと消極的な悪意の中で死の恐怖に怯えながら「一人ぼっち」で生きていたのです。

ひとは、孤立して生きていくことはできない。子供が成長していくためには、自分を理解し、寄り添ってくれる大人の存在が必要です。そんな存在を得られない子供は、傷つき、心を病んでいく。

そんな子供たちに、寄り添ってくれる大人が現れます。偏屈な老庭師のベンとスーザンです。彼らの助けを得て、子供たちは「秘密の花園」で心身の健康を取り戻していきます。

大人といっても決してパーフェクトじゃありません。子供が育っただけです。(自分のことを考えてもよくわかる)子供よりタチが悪い場合もある。そして子供は親を選べない。環境も選べない。子供であるがゆえに。

この小説の大人たちも、(スーザンは別として)ずるくて甘くて心に弱さを抱えた「子供が育っただけの人」たちです。でも、どんなにダメでも、生まれたての赤ん坊よりは「経験」を持っています。大人が子供よりエライというならば、それは「経験」ゆえでしょう。世の中という未知の世界で生きていく不安な心を安定させてくれるのが「経験」だと思うし、それを持たない子供が持っている大人を必要とするのは生き物としては当然でしょう。

あー、大人って難しいなあ。歳を重ねても、いくら経験しても、不安なのは実は子供といっしょです。いっぱい迷うし、知ってしまったがゆえの不安や苦しさもある。状況や環境も望み通りになる方が珍しい。いや、むしろ状況や環境にコントロールされてる。自分が何を欲してるのかさえわからなくなるときもある。正解が欲しくてたまらない。

それでも、そばに子供がいれば、寄り添ってあげなきゃいけない。自分がどんなにダメで不安で迷ってばかりの弱い人間でも、ただ寄り添って、見ていてあげるだけでいいんだと思う。自分に寄り添ってくれる大人の存在を感じられるだけで、子供の心に安定と安心が保証され、前に進んでいくことを恐れない力を得られるんだと思う。

もう一回続く。

















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